はまリンク取材班が社長に突撃インタビュー

機械のメンテナンスやオーダーメイドでの部品製作をされていますが、具体的にはどのような部品を製作されているのですか？

会社設立当初からずっと続けているのは電線ケーブルを製造する装置のメンテナンスとオーダーメイド部品の製作です。仙台にある電線メーカーに、工場の端から端まであるような大きな英国製の装置があるのですが、とても気難しい機械で取扱説明書も英語ですし現場の方が困っていたことがあったんです。

作業をされる源平社長

根っからの技術屋なので困っていると聞くとアイデアを出すのが好きなんですよね。「じゃあこんな風にしてみて、こんな治具をつけたらどうですか？」と。部品もなかなか海外から届かないので、図面を引いて作ってみたら機械が上手く動くようになって、最終的にはその機械の生産性が倍増したんです。それ以来、消耗部品も含めて全て任せていただいてます。

かかりつけのお医者さんみたいな、何でも相談できて親身になってくださる存在ですね。

そうなんです。以前は何でも聞けば知っている年配の熟練工さんが現場にもいたと思うのですが、だんだんと少なくなり、古い機械だと若い方だけでは分からなくなってきているのだと思います。そういう時にあの人だったら相談に乗ってくれると、社内のいろいろな部署に紹介していただけるようになり、今では別の工場からも相談をいただいています。
オーダーメイドで必要部品の図面を起こすところからやっていますので、付加価値があり、高く評価いただいているのですが、10年続けていたら機械の調子がすごく良くなって、最近は消耗部品の供給の方がメインになってきていることには少しジレンマがありますね（笑）

企画、設計もされているということですが、どのようにお客様の問題解決のご提案をされているのですか？

遠くても直接会って仕事をすることを意識しています。そうして長く現場の方と付き合っていると現場ごとの特徴も分かってきますので、それぞれにこういう解決案がいいんじゃないかと提案できます。絵を描くのは得意なのでアイデアを絵にして、お客様にイメージを持ってもらってから設計するようにしています。先に絵で確認しお互いの思い違いをなくすことでやり直しのロスをなくすことができると思っています。最終納めて一発でうまくいったら使う側も気持ちよく使ってくれるんです。当社に頼めば一発ですとんと落ちて、すぐ使えると思ってもらいたいですね。

機械メンテナンス以外に「かながわオンリーワン企業ガイドブック2013」に紹介されている、ラクラク台車をはじめとするゼロラップシリーズを販売されてますが、どのような製品ですか？

ラクラク台車は当社が開発した荷崩れ防止バンドが付いている台車です。巻き取り式のバンドを荷物の上にかぶせて台車前方のフックにひっかけてロックすると、段差や坂道でも荷崩れせず荷物を運ぶことができます。特長は荷物への密着性とワンタッチの手軽さです。展示会で実演をおこなうたびに高い評価をいただいています。ゼロラップシリーズはラクラク台車のほか、エコ梱包材の荷崩れ防止梱包バンド「ゼロラップ」、収縮素材の中・軽量物向き「スーパーゼロラップ」など、運搬関連製品をシリーズとして販売しています。

ゼロラップシリーズを開発された経緯を教えていただけますか？

荷崩れ防止バンドの製造会社の方に「荷崩れ防止バンドを普及したいが、なかなか普及しないのは、主流であるストレッチラップのような自動巻き機がないからだと思う。だから荷崩れ防止バンドを自動で巻ける機械を作ってほしい」と、共通の知人を介して頼まれたのがきっかけでした。そこで自動巻きシステムを開発することになったのですが、その過程でバンド自体も巻き取りに適した仕様のものを自社開発しました。そのバンドをもっと手軽に使えるのではないかと思って考案したのがラクラク台車です。

実際にラクラク台車を見せていただけますか？

はい。段差や坂道では荷物を片手で支えながら前に進むのも難しくなってしまいます。ラクラク台車なら両手で押すことができますのでこのくらいの段差でもまったく問題ありません。また、荷崩れ防止バンドは常にテンションが掛かっているので横からピッキングしてもすぐ調整されるんです。これが当社の荷崩れ防止バンドの大きな特長です。これを可能にしている特徴として、シートの端を三つ折りで縫うのではなく熱処理で段差をなくしています。そのためスムーズに巻き取れるようになっているんです。

これはいろいろなシーンで活用できそうですね。

シートの長さは目の高さ辺りまで積むことができるように設計してあります。工場内物流での製品や部品の搬送、書類の多い銀行をはじめとする企業内や学校など、書類の運搬などちょっとした工夫で安全に運ぶことができると思います。その他、高価な撮影機材を運ぶ放送業界や映像業界でも需要があると考えています。2012年にテクニカルショウヨコハマに出展したのですが、その撤収の際に隣のブースの方から精密機械の搬出に貸してほしいと言われたこともありました（笑）
展示会では本当に多くの方から大変ご好評をいただきました。

今後挑戦していきたいことはありますか？

まずはラクラク台車、ゼロラップシリーズの販売に力を入れたいと思っています。東日本大震災以降、防災意識が高まっていると思うのですが、こういった台車を防災設備に入れてもらうことで防災時の障害物があるような場所でも安全に物資の運搬ができるようになると思っています。もっと宣伝していきたいですね。あとは今後も自分が面白いと思える製品の企画製作をしていきたいですね。
世の中いろいろ便利になってきている時代ですが、やはり直接現場の方にお会いしてつながりを大切にしたいと考えています。つながりを大切にすることで新たな製品のアイデアが生まれたり、企業同士のネットワークが生まれますからね。

• 現場に寄り添い技術と発想で喜ばれる製品を生み出す
• ゼロテクノスさんはつながりを大切にものづくりをされています。